4月16日の土曜日。大学院博士後期課程のオリエンテーション。
一期生となるのは合計で8名(一方、先生は14名)。
まずは経営管理大学院院長からの祝辞があり、その後、研究生活に入るにあたってのルールその他をご説明いただいた。
京都大学にはすでに経営管理大学院という専門職大学院があり(正確には、京都大学大学院経営管理教育部(専門職学位過程))、一期あたり80-90人ぐらいのフルタイムの学生がMBAを目指して入ってきている。普通に考えれば経営管理大学院の中にできる博士後期課程なので、”DBA Doctor of Business Administration”になるのではないかと考えるのだけれども、今回、僕が入学した新設の「博士後期課程経営科学専攻」というのは、無事博士号がとれたとして、Ph.D in Management Science となる。
なぜ"DBA"ではないのか、については、2〜3つぐらいの大きな理由があるようだというのは先生方のお話でわかったわけだが、ネガティブなほうの理由はここでは敢えて書くのをやめておきたい。むしろポジティブな意味で「経営科学 Management Science」とした理由が非常に刺激的だった。
今はもう、いわゆる「経営学」のフレームワークはいい意味で崩壊しつつあるというのが背景にあった。例えば「経営学」の知見が土木や都市工学などの分野に援用されているという、「経営学」の活用範囲の拡大。そして二つ目に「経営学」が他の領域、例えば情報学、心理学、文化人類学などのメソドロジーを取り込んで学際的な領域への広がっていて、これを「経営科学」という言葉でとらえる向きがあるという、「経営学」の研究領域の拡大。この2つの背景と、今回は社会人向けの博士後期課程ということもあり、そもそも色々なバックグラウンドを持つ8人が、それを使って研究生活に入るわけだから、MBAのような「経営学」のフレームワークに収まる必要がそもそもないのではないか、ということもあるみたいだ。
*ただ、実際には、Ph.D.というのは非常にアカデミックな称号でもあるので、Ph.D in Management Science という学位自体がいろいろ物議を醸しだしたという裏話もあるようですが。
京都大学というのは「自重自敬」で「自由の学風」を重視するというのもあって、枠にとらわれない学風というのはそれ自体がこの大学のアイデンティティなのだというが院長の話にあったが、概して、遅れている、固いと思われる国立大学のイメージからすれば、(経営管理教育部で開かれているプログラムを見ても)相当先端的な、経営学・経営科学に対するアプローチがなされていることがわかったので、これからの3年の社会人大学院生活が楽しみだ。
余談だが、半数近い博士後期課程の学生が東京からの通学だった。とりあえずしばらくは毎週のように吉田で授業があるために京都に通うわけだが、こんな生活をするのは自分ぐらいかなあ、と思ったら、そうではなくて驚いた。
みな社会人ながら博士号を取ろう、しかも一期生というモルモットでやってみるというリスクが好きな、でもこういったアカデミックな世界に興味を持った人たちの集まりのようなので、彼らとやっていくのも、これまた楽しみである。
*そもそもなぜ博士後期課程に入って博士号を取ろうと考えたのかについては以下のとおり。
「学ぶ機会」を増やし「話す機会」を増やすだけでは、後進に貢献できないと考えたので。 | mediologic.com/weblog